シーラカンスを飼育?
2011.02.01
テレビなどでもときどき取り上げられることのある、生きた化石とも言われる古代魚
「シーラカンス」。
長らく絶滅したと信じられてきたんですが、1938年、南アフリカでその生息が最初に確認され、世紀の大発見と騒がれました。
以降、東アフリカとマダガスカル島の間に位置するコモロ諸島に生息していることが確認され、その後
そこから10,000kmも離れたインドネシアのスラウェシ島でも発見されました。つい最近、1997年9月のことです。
「シーラカンス」といえば、よく紹介されるのが福島県いわき市にある水族館
「アクアマリンふくしま」。
開館当初からシーラカンスの調査に力を入れ、主にインドネシアの海で数多く現地調査を行い、シーラカンスの生きた
姿を捉えています。
特に2009年10月には、世界で初めてシーラカンスの稚魚の撮影に成功したことで話題になりました。
自らの水族館を「環境水族館」と呼んでいる、ここの館長、
安部義孝氏。
この人の夢は、なんと「シーラカンスを水族館で飼いたい」。
ネット上では、これを
「壮大な夢」と表現しているサイトもありますが、
とんでもない思い違いをしているようです。
人間の夢がシーラカンスを絶滅へ
現実にはワシントン条約で、シーラカンスの商業目的の輸出入は禁止されているので、彼の夢の実現は難しいでしょう。
でも、もし仮に彼の夢がかなって、生きたシーラカンスを展示できるとしたら、それこそ最初に上野動物園にパンダが来たときのように
大きな話題となり、お客さんがどっと押し寄せることでしょう。
そうなると、展示は「アクアマリンふくしま」だけで済むはずもなく、我も我もと世界中の水族館が同じことをしたがるのは容易に想像できます。
そうなったら、あっという間に(彼らが今まで生きてきた時間から考えたら、それこそ一瞬で)シーラカンスは本来生息していた海から姿を消すことに
なってしまうかもしれません。
その上、生態すら分かっていないシーラカンスを水族館で繁殖させることなどできるはずもなく、結局は本当に地球上から彼らを絶滅させて
しまうことになるのです。
「生きたシーラカンスを水族館で展示したい」という思い、解らないでもありません。でも、こういった類の人間の夢、というより欲望が、多くの動植物を
絶滅へと追い込んできた例は、それこそ枚挙に暇がありません。
「保護」という名のおせっかい?
「アクアマリンふくしま」のホームページでは、こんなことが述べられています。
「形態学的にも生態学的にもインドネシアシーラカンスに関する知識は極めてわずかであり、インドー西部太平洋海域における本種の
保全のためには、生物学的研究は焦眉の急です。」
(「アクアマリンふくしま・シーラカンスの謎に迫る!」より)
なぜ人は珍しいからといって、すぐ「上から目線」で「保護」を叫ぶのでしょうか。
今まで何億年も絶えることなく「生」を引き継いできた種であれば、きっとこの先もずっと生き続けることでしょう。
もし人間が余計なことをしなければ・・・。
シーラカンスたちにしてみたら、まさに「保護」という名のおせっかいかもしれません。「調査」とか「保護」とか言いながら、
実は絶滅の手助けをする結果になるかもしれないのですから。
奈良県明日香村の
高松塚古墳が発見され、
発掘調査が行われるようになった途端、貴重な壁画が急速に劣化していったのと同じ結果にならないと、誰が断言できるでしょうか。
もしシーラカンスがしゃべることができたら、こう言うかもしれません。
「人間は、オレたちの生態の調査や保護なんて言ってるらしいけど、冗談じゃない。一体オレたちがいつから生きていると思ってるんだい。
あんたたち人間が誕生するはるか以前から生きているんだぜ。
あんたたちのお世話にならなくても、生きていけるよ。そっとしといてくれればね。
そんなことより、自分たちが生き残ることを考えた方がいいんじゃない。地上の環境もずいぶん悪くなっているって言うじゃないか。
あんたたちのせいでね。」
人間おごるなかれ
館長の安部義孝氏は、他方でこんなことも言っています。
「いろいろな生物の進化の中では人間は新参者で、絶滅すれば他の大多数の
生物が喜んでしまうでしょう。”人間おごるなかれ”ですよ。」
(「元気ッズ!ふくしま・もっとも偉大な魚物語 アクアマリンふくしま館長インタビュー」より)
でも、この人の「シーラカンスを水族館で飼いたい」という考えこそ、「おごり」でなくて一体何でしょう。
本来踏み込んではならない領域に踏み込みたがっている、この人物が館長をしている「アクアマリンふくしま」のシーラカンス研究活動。
ここの活動は、なんだか危なっかしい気がしてなりません。
人間は、ともすればエスカレートしていきます。生きている姿を撮影するだけでは飽き足らず、いつかシーラカンスを捕獲してしまうのでは、
といった危惧を抱かざるを得ないのです。
今までホームページ上で個人に対し批判的意見を述べることは避けてきましたが、この人の考えには異を唱えざるを得ません。
シーラカンスのためにも、ここの研究活動がいつか頓挫することを、私は願っています。
なぜなら、人間が足を踏み入れてはいけない領域も、地球上にはあると思うから・・・。
人間が地球上の動植物をこれ以上絶滅させないためには、自制が必要だと思うから・・・。