ダイブコンピュータの解説・選び方
<ダイブコンピュータとは>
ダイブコンピュータ(略して「ダイコン」)とは、ダイビング中に体内に蓄積されるであろう窒素量を
基に、減圧停止することなしに現在の水深であと何分止まっていられるか(無減圧潜水時間)、また減圧
ダイビングに入った場合の減圧停止深度と時間を、リアルタイムに計算・表示してくれるスグレモノです。
ただし、直接体内の窒素量を測っているわけではなく、あくまでも標準的な人体モデルを前提として理論上
の数値を計算しているだけで、個人差や日々の体調までは考慮してくれません。そういった意味では、
あくまでも安全の目安としての数値を表示してくれるに過ぎません。
しかし、ダイビングに関する安全意識の向上や、海外でのダイビング機会の増加に伴い、ダイブコンピュータ
は今やなくてはならない器材になりつつあります。
<コンピュータのタイプ>
コンソールタイプとリストタイプ
ダイブコンピュータには右上の写真のようにコンソールゲージにセットして使用するタイプと、右下の
写真のように手首にセットして使用するリストタイプがあります。
以前はコンソールタイプのものも多くありましたが、ダイブコンピュータ本体が年々コンパクトになり、
ダイバーズウォッチと同じぐらいの大きさにまで小さくなった今日では、腕時計のように使用する
リストタイプが圧倒的に多くなりました。
<コンピュータに表示される主な項目>
通常のダイビング中
下記項目は一般的な表示項目ですが、機種により多少異なります。また、ボタン操作
などで項目を切替えて表示するものもあります。
- 現在の水深
- 最大水深
- 潜水時間
- 無減圧潜水時間
- 体内残留窒素量(バーグラフ表示など)
- 水温(現在の水深時または最大水深時)
- 浮上速度警告(点滅表示やアラーム音など)
減圧ダイビング中
無減圧潜水時間を越えて潜った場合、体内に蓄積された窒素を排出するため、
一定の浅い水深で一定時間止まることが必要となります(減圧停止)。
従って、減圧停止が必要になると、コンピュータの表示が減圧停止モードに切り替わります。
- 現在の水深
- 減圧停止すべき水深
- 減圧停止すべき時間
- 浮上までのトータル時間
- 体内残留窒素量(バーグラフ表示など)
ダイビングログ表示
現在までのダイビング記録で、機種により表示項目、記録できる本数は異なります。
- 潜水日付
- 潜水開始時刻
- 潜水終了時刻
- 潜水時間
- 最大深度
- 平均深度
- 水温(最大深度での水温表示が多い)
- ダイビングプロファイル(潜水深度の変化を時間経過とともに表示したもの)
- 過去からのダイビング本数
- 過去からのダイビング総時間
<ダイブコンピュータ選びのポイント>
機能
現在販売されているもののほとんどは、ダイブコンピュータとして最低必要な機能は有しています
ので、必要な機能面での優劣はつけがたいです。
厳密に言えば採用する減圧理論の違いにより、コンピュータによって無減圧時間が異なったりしますが、
大事なことは、どの理論がすぐれているのかではなく、どうコンピュータを使うかということです。
従って、機能的にはどのコンピュータも満足できるレベルだと思います。
なお、以下のような機能のある製品もあります。
- 一定以下の浅い水深になると、3分間のカウントダウン機能があるもの(安全停止モード)
- ナイトロックス対応のもの(最近の製品は多くが対応)
- コンパス機能のあるもの
- レギュレータのファーストステージにトランスミッターを取り付けることにより、
タンク残圧を表示できるもの
- 浮上時に、一旦深い水深で停止する、ディープストップという考え方を取り入れているもの
表示項目・表示方法
各コンピュータとも最低限の表示項目はどれも同じですが、表示方法は少しづつ異なります。
例えば
- ダイビング中の最大水深や水温が常時表示されるものと、ボタンで切替表示するもの
- 浮上速度警告を点滅表示で知らせるものと、アラーム音で知らせるもの
- ダイブログ表示で潜水終了時刻表示がなく、潜水開始時刻と潜水時間で計算が必要なもの
- 水温を小数点以下1桁まで表示するものと、整数部分のみの表示のもの
- 日付表示順序が年月日のものと、日月年のもの
ダイビング中の表示項目は必要不可欠のものさえあればよく、あってもなくてもいいような項目まで
表示されていると、かえって本当に必要な項目が見づらくなります。例えば最大水深や水温などは、
常時表示されている必要はないと思います。ダイビング中の表示画面は重要ですので、カタログなど
で確認し自分にとって本当に必要な項目だけが表示されているか、レイアウトは見やすいか、よく
検討してください。
また、浮上速度の警告は、アラーム音で知らせてくれるほうが確実に早く気づくので、ベターでしょう。
価格と材質
同じダイブコンピュータでも下は5万円前後から上は15万円以上のものまで様々です。
概ね高価なものほど色々な機能が装備されていて、また材質も高価なものを使用しています。
機能面ではデジタルコンパスや、トランスミッターと呼ばれる部品とペアでタンク残圧を表示する
機能など、材質面ではチタン合金などがあります。
同じメーカーで機能もほとんど同じなのに価格が数万円近く違う場合もあります。材質の違いによる
ものですが、やはり高価なほうが高級感があり見た目にも違います。
機能一辺倒で選ぶなら安いもので十分ですが、日常でも使用し、さりげなくダイバーであることを
主張したい方には見た目も大事でしょう。また、高価なダイコンならツアーなどでも、他のダイバーの
注目を浴びるかも・・・
という訳で、最後は財布と相談してみてください。
また、意外と見落としがちですが、電池交換の費用もバカになりません。電池寿命があまりに短いと
トータルコストは高くつきます。
機能かデザインか
コンピュータは高価で長く使用する器材なので、自分が是非必要とする機能は何か、あれば便利な
機能はなにか、なくてもいい機能はなにか、表示方法はどうかなど、十分こだわって選択してください。
よほどデザインが気に入らない場合は別ですが、そうでない場合は表示内容や機能、見やすさを優先することを
お勧めします。使っていれば、多少気に入らないデザインでも愛着がわきますが、使いにくい機能は
慣れることはありません。
私はデザイン的にはSUUNTOが好きでしたが、ログ表示で日付が日月年表示なのと、潜水終了時刻が
非表示だったこと、Sプロの方はダイビング中の画面で最大水深が常時表示でなく(ボタンで切替表示)
すっきりしていたことで、Sプロを選びました。
購入の時期
最近は、講習を終えたらすぐにでも買うべきといったような意見を、主にショップ関係者などから聞きます。
安全なダイビングのためには、もっともな意見のように思えます。
でも一方で、ダイブコンピュータがそれほど普及しておらず、ダイブテーブルを使っていたころのほうが、
減圧症患者はずっと少なかった、という事実があります。ダイブコンピュータは持っていれば安全、
なのではなく、どう安全に使うか、が重要です。
講習を終えたばかりの初心者の方に、ダイブコンピュータを安全に活用する余裕などないのが現実でしょう。
そういった人に、ショップがいきなり高価なダイブコンピュータを勧める、といったような話には
以前から違和感を感じています。
ダイブコンピュータは機種によって、機能や表示方法が微妙に異なります。また、最近は小型化され、
デイリーユースも十分可能なものも多くあるので、デザインなども重要な要素でしょう。
そういったことを考えると、何も分からないうちにショップに勧められるまま購入するよりは、いろいろ
カタログをチェックするなど、ある程度予備知識を持った上で購入するほうが後悔しないですむのでは、
と私は思います。
<安全潜水のために>
控えめなダイビング
ダイブコンピュータがあるからといって、無減圧潜水時間ぎりぎりまで潜るのは危険です。
コンピュータはあくまで、安全の目安としての数値を表示しているに過ぎません。現に、
コンピュータの示す無減圧潜水時間を守ったダイビングにも拘わらず、減圧症になったダイバーも
います。余裕を持った無減圧潜水時間で浮上するのが賢明です。
一番厳しいコンピュータに従う
ダイブコンピュータは機種により無減圧潜水時間が多少異なります。何人かで潜った場合、
最も厳しい(短い)無減圧潜水時間を表示するコンピュータに合わせてダイビングをするべきです。
ダイビングのルールを守る
最初に一番深いところへ行き徐々に水深を上げる、極端な浮上・潜行の繰り返しは避ける、安全停止を
行う、などダイビングの基本ルールは、ダイブコンピュータのあるなしに拘わらず、守ることが重要です。